2012年 05月 26日
potato |
英名:potato(e)
学名:Solanum tuberosum L.
ナス科ナス属
地下の茎の部分(塊茎)を食用にする。加熱調理して食べられるほか、デンプン原料と
しても利用。比較的保存がきく食材であるが、温度が高いと発芽しやすく、涼しい場所での
保管が望ましい。芽や緑化した塊茎には毒性成分ポテトグリコアルカロイド(ソラニンなど)
が多く含まれ中毒の元になる。
南米アンデス山脈の高地原産。16世紀、スペイン人によりヨーロッパにもたらされた。
このとき運搬中の船内で芽が出たものを食べて毒が当たった為「悪魔の植物」と呼ばれた。
日本には、1600年ごろにオランダ船によりジャカルタ港より運ばれた。
じゃが芋の「じゃが」とは、ジャワのジャガトラ(ジャカルタ)から伝播したことに因む。
その他の説としてはジャワ島の芋の意味のジャワイモが変化した、天保の大飢饉で、
ジャガイモのおかげで餓死を免れた事で呼称された「御助芋」が転じたものなど諸説ある。
「馬鈴薯」(ばれいしょ)という呼び名もよく用いられるがこれは中国での呼び名のひとつ。
18世紀に日本人の小野蘭山が命名したといわれているが、中国名をそのまま輸入したものなのか、新しく付けた名前がたまたま中国名と同じだったのか、それとも小野蘭山の命名が中国に伝わったのかは明らかではない。一説には、ジャガイモの形が馬につける鈴に似ているという事からこの名前になったという。また、「マレーの芋」という意味からこの名前が付けられたという説もある。
ジャガイモは、ビタミンCやデンプンが豊富な上に、加熱してもデンプンに保護されてビタミンCが壊れにくい。寒冷地や痩せた土壌でも栽培しやすく、茹でる等の簡単な調理で食べられるジャガイモは、江戸時代飢饉の際に、サツマイモと同じく主食の米等の穀物の代用品として、ジャガイモによって飢餓から救われたという記録が残っている。このために「お助けイモ」と呼ばれた事がある。そのほか、オランダ語のaardappelからきた「アップラ」「アンプラ」「カンプラ」という呼称も存在する。
英語のpotatoの語源は、タイノ族の言葉でサツマイモを意味するbatataがスペイン語の
patataに変化したもの。ジャガイモの原産地で古くから使われている言語の一つであるケチュア語ではpapaと言うが、この単語はそのまま中南米スペイン語で使われている。スペイン語でbatataがpatataに変化したのはこの影響であると考えられている。Papaはローマ法皇を意味する単語と同じであったため、これを忌避してPatataに変遷したともいわれる。
ジャガイモはペルー南部に位置するチチカカ湖の畔が発祥とされる。
このジャガイモがヨーロッパ大陸に伝えられたのは、インカ帝国の時代、15世紀から16世紀頃とされている。当初、インカ帝国の食の基盤はトウモロコシではないかと伝えられていたが、ワマン・ポマが残した記録やマチュ・ピチュの段々畑の史跡研究、気象地理条件、食生活の解析など、複数方面からの結果が、食基盤がジャガイモであったことを示しており、近年見直しが図られている。しかし、具体的に「いつ」「誰が」伝えたのかについてはっきりとした資料は残っておらず、スペイン人がジャガイモを本国に持ち帰ったのは1570年頃で、新大陸の「お土産」として船乗りや兵士達によってもたらされたものであろうと推測付けられている。
さらに1600年頃になるとスペインからヨーロッパ諸国に伝播するが、この伝播方法にも諸説あり、はっきりとは判明していない。いずれにせよ16世紀末から17世紀にかけては植物学者による菜園栽培が主であり、ヨーロッパの一般家庭に食料としてジャガイモが登場するのはさらに時を待たねばならない。さらにジャガイモは18世紀にはアイルランド移民の手によりアメリカへ渡り、アメリカ独立戦争における兵士たちの胃袋を満たす貴重な食料源となった。
寒冷地にも強く、年に複数回の栽培が可能で、地中に作られることから鳥害にも影響されないジャガイモは庶民の食料として爆発的な普及を見せた。アダム・スミスは『国富論』において「小麦の三倍の生産量がある」と評価しており、瞬く間に麦、米、トウモロコシに並ぶ「世界四大作物」としてその地位を確立した。
by atelierq
| 2012-05-26 13:02
| garden